ブラッドダイヤモンド

Photo 「ブラッド・ダイヤモンド」です。

反政府軍組織RUFに捕まり闇ダイヤの採掘場で強制労働を強いられていたソロモンは、作業中に大粒のピンクダイヤを発見。再び家族と暮らすために危険を承知でそれを隠すが、直後に政府軍によって捕らえられてしまう。(映画生活)

最近めっきり演技の腕を上げたディカプリオ主演の抗争モノということで観ました。
そしてアフリカで恐らく行われているだろう(というか実話ベース)という本作の内容に心を痛くした次第であります。毛皮や絶滅危惧種の動物なども、きっと同じような経路を通っているんだろうなぁ。嘆かわしい。

何かを手に入れるためには多くの犠牲が伴い、そして血で血を洗う背景がそこにある。人間はどこへ向かって生きているのだろう。我が身の為に、我が信念の為に同族である人間を人間が拷問し、殺し、幼い子供までも薬物中毒にして殺人者に仕立て上げる。そしてそれは彼らが異常なのではなく、むしろこの世界が既に異常なんじゃないかと思わざる終えない気がしてきて、一人で私はゾッとしてしまいました。

バラエティ番組なんかで、大きなダイヤの指輪を自慢げにつけ、毛皮のコートで高笑いをするセレブ達を観るたびに私はきっと本作を思い出すだろうなぁ。そして強欲そうな顔のセレブ達と、この反政府軍の強欲さは共通している気がしてならない。

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グアンタナモ、僕達が見た真実

Photo_263 ずっと見たかった「グアンタナモ、僕達が見た真実」です。

パキスタン系イギリス人のアシフは、結婚式を挙げるため友人のローヘル、シャフィク、ムニールを誘い、パキスタンへ向かった。そこで隣国アフガニスタンの様子を知った彼らは、実情を見るために国境を越える。その直後、米軍の空爆が始まった。混乱の中、ムニールは行方不明になり、残った3人はタリバンとまちがえられ、捕虜になる。やがて彼らの素性を怪しむ米軍により、3人はキューバのグアンタナモ基地へと移送される…。 (映画生活)

案の定あらすじを読まずに観たので、友人の結婚式に参列するために向かう若者2人と、花婿が隣国アフガニスタンで「戦争をやっている」という情報を聞き、寄り道してみようと行ってみたら巻き込まれちゃった。という話…ですよね。なんだかわかりにくい部分もあったので、終わってからあれこれと考えてしまいました。

アメリカ側から見た湾岸戦争の映画は一通り観ていました。
本作はその逆の、アフガニスタン(といっても当事者はパキスタン人だけど)側から見た湾岸戦争の映画ということでかなり興味がありました。内容は「案の定…」と言った感じの内容でしたが。(つまらなかったというんじゃなくて)

全体的に、起こる出来事を淡々とドキュメントタッチで綴った映画です。だから浮き沈みはさほどかんじられませんが、普段あれだけ「人権、人権」と大声張り上げて言っているアメリカが、やっぱり本作の中で「人権無視」な行動を取りまくっていました。
「そんなの戦争になればどこの国もそうなんじゃないの」とも思います。日本だって、つい最近も刑事が無実の人間を犯人に仕立てあげた事件が、ニュースでやったばかりですから。でも本当にどの国もそういうもんなんでしょうか。

私の父がインドへ旅行に行ったとき、人種も生活も違う貧しい村人達になんのメリットも求められず何度も助けられた話を思い出しました。それを聞いて「バベル」を観たとき「ああ、やっぱりそうなんだ」と思いました。貧しい国の人間て、自分の利益云々以前に体や感情が動いちゃうんでしょうね。「何とかしてあげなきゃ」と、直感で思うんでしょう。きっと、生まれてからずっとそういう生活をしてきたからなんでしょうね。

…と、話がそれましたが、なんだか本作を観ていて、戦争云々とかの以前にもっと学ぶべき事が沢山あるんじゃないなぁと、またまた深く考えてしまいました。

本作が良い映画かどうかはよくわかりませんが、こういう映画を観ると色んな事に気付かされます。観て良かった。

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ワールドトレードセンター

Photo_190 「ワールドトレードセンター」です。

9.11テロの際、崩壊したワールド・トレード・センタービルから奇跡の生還を遂げた二人の警官の感動の実話を映画化!2001年9月11日、午前8時40分過ぎ、ニューヨークのシンボルとも言える2つのタワーに旅客機が相次いで激突した。港湾局警察官ジョン・マクローリンは部下のウィル・ヒメノたちを率いて現場に急行。惨状に呆然としながらもビル内部に被災者の救出へと向かうが…。

ヒメノ役のマイケル・ペーニャが好きなので観ました。
前半のビルへ入っていくシーンは、何とも緊張感ありまくりで、期待度はマックス。
しかし、上階へ上がる前にビルは崩壊し、瓦礫の中に閉じこめられ身動きの出来ない状態になってしまった二人をみて、私の期待はまたしぼんでしまいました。

そのあとはひたすら暗闇で、上から落ちてくるコンクリの塊をよけたり、恐怖と対面する二人の姿を延々と撮り続けています。こういった閉鎖的な環境から、戦争やテロや死への恐怖などを撮っているんだと思うんですが、私にはこれがいまいちでした。というか上手く表現しきれてない気がするというのが率直な感想です。

プロバガンダにはなってない反面、ちょっと単なるヒューマンドラマと化してしまっているあたり、そして生還した二人が英雄のように扱われているあたり、勿論、人を助けに行き、そして想像絶する恐怖と闘ったわけだから英雄に値するのはわかりますが、この狭い空間での話を、どうしても戦争に結びつけられずヒーロー物で終わってる気がしてならないです。光を映すなら闇も映して欲しかった。
肝心の何千と死んだ人間についての話はテロップのみという扱いも、大好きなペーニャの演技も思っていたほどではないし…どうも私にはしっくりこなかったです。

うーん、最近激しい作品を観すぎたのかな…。
どちらにしてもテロ、戦争映画を「ヒューマンドラマ作」としてしまうのは抵抗があります。
(単に苦手なだけですが)

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トゥモロー・ワールド

Children_of_men 「トゥモロー・ワールド」です。 【ちょっとネタバレ】

子供が誕生しなくなってしまった近未来を舞台に、人類存亡の“鍵”を巡る攻防を、製作費120億円を投じて描いたSFアクション巨編!出生率の低下、繰り返されるテロ活動…決して空想ではない真実の未来図を徹底したリアリズムと壮大なスケールで描く。

以前より評判は聞いていましたが、正直ここまで凄いとは想像していませんでした。私の直球ド真ん中映画です。まさに心臓をえぐられたような衝撃が走りました。

2027年の未来が舞台なんですが、いままで観てきた近未来のテクノチックな映像は、ほとんど無く、イギリス以外の国は全て崩壊し、残すイギリスでも「出生率0%」という人類滅亡の危機に瀕した世界が描かれています。
そして今のイギリスに瓦礫を足したような、内戦を起こしたような背景の映像から始まり、冒頭の「Children of men」のテロップの出し方についてもどこかで観たような…。

うんうん考えながら観てたら、主人公テオ(クレイブ・オーウェン)の親友が出てきてようやくわかりました。
これはフラワーチルドレン、ヒッピームーブメント、思想やデモや抗争、過激派、独裁政治や収容所や貧困といった、60~70~80年代を強く意識して折り込まれいると思いました。現にこの親友夫婦もヒッピーだし、テオも元活動家で、彼の元彼女(ジュリアン・ムーア)も現役の過激派の活動グループリーダーですし。そしてお話の中で重大な「ある事」が起こり、テオ達はそれを送り届けるため人間研究船「トゥモロー号」へと向かう訳ですが、この船は「ノアの箱船」のようにお話の中では大きな目標となってるわけです。

私が本作に凄く感銘を受けたのは、この内容以上にその抗争の「戦争風景」です。グロくなく、それでいて痛そうとかではないのにとにかく怖い。それもジリジリくる恐怖ではなく、もっと突発的に、あっけなく人が死んでいく様をこれでもかと見させられます。この冷酷かつ非道な風景に、私は凍り付いてしまいました。とにかく終始戦争を本当に目の当たりにしてる様な、緊張感と雰囲気に包まれます。
(この監督、前作では「ハリーポッターとアズカバンの囚人」を撮った人みたいですが、思い起こせばハリポタでも「この監督、撮り方上手いなぁ」と感じてました 若いんだよね

こんなにグレーな風景なのに、とにかく、とにかくリアリティがあります。そして本当にその場で人が死んでいく様をみさせられてる感覚に陥りました。この描写力は凄い。

それと、最後の終わり方、いやいやあれはGOODです。問題の多い今の世の中「トゥモローワールド」のラストの様に小さな希望を残して…。

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地獄の黙示録 特別版

~ 来週から1週間ほど出張のため映画生活ともお別れです。なので今週は死ぬほど映画を観ようと思ってます週間 ~

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言わずと知れたコッポラの「地獄の黙示録 特別版」です。3時間強あります。

ジャングル奥地に自分の王国を築いた、カーツ大佐の暗殺を 命じられるウィラード大尉。道中、様々なベトナム戦争の惨状を目の当たりにしながら、 ウィラードは4人の部下と共に哨戒艇で川を上っていく… (allcinemaonline)

観るまではカーツ大佐が主役だと思ってました。(大恥)
とにかく、ウィラード達がカーツ大佐を求めて河を遡る中で出会う、地獄の鬼のような面々のインパクトがとても強かったです。
その中でも一際目立ったのはやはりキルゴア中佐(ロバート・ドュバル☆)じゃないですかね。彼のキレぶりは、確実に常軌を逸してます。もう笑うしかない。そして、まんざらそれが戦争中ともなると嘘に見えない気がしてくるから怖いです。

カーツ大佐のシーンになると、いままでのド派手ぶりが無くなっていきなり静かなシーンが続きますが、これがまた怖い。途中、牛を殺すシーンがありましたが、このシーンのグロさが、カーツ大佐の場面では恐怖を帯びました。まさに視覚ではなく感覚で味わった気がします。(ちょっと吐きそうになりました・・・)

この作品がいいかどうかは、正直よくわからなかったですがこのインパクトの強さは半端無い気がします。狂気。正にその通りな映画です。

もう、おなかいっぱい。

追記:クリーン(黒人兵士)演じるのは「アサルト13」「マトリックス」のローレンス・フィッシュバーン! ひ、ひぇ~。気付かなかった~。

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ユナイテッド93

93 どのサイトでも高評価だった?「ユナイテッド93」です。

2001年9月11日。
旅客機4機がテロリストによりハイジャックされ、「アメリカン航空11便」「ユナイテッド航空175便」が世界貿易センターに激突。国防省(ペンタゴン)には「アメリカン航空77便」が激突した。
そして「ユナイテッド航空93便」だけは目標に達することなく、ペンシルバニア州シャンクスヴィルに墜落した。
「9.11事件」をドキュメントタッチで再現した作品。

この事件の日、私は遅昼のため、先に昼食中だった他の職員から事件の様子を聞きました。それからTVでは何度もテロによる墜落という情報が流れていたのを憶えています。ですが、後日、TVで取り上げるのは事件の真相よりも「奇跡の救出劇・家族の愛」などの感動特番ばかりで、結局私はTVを見続けることは無かったです。

本作を見て、5年経った今、初めて9.11の現状が理解出来た気がします。そして深い悲しみと憤りを感じました。この作品の「どちらかに偏った視点ではない」というコンセプトが私には非常に好感が持てました。それにより、「つまらなかった」など、会場の声も聞きましたが、仕方ないと思います。これは確実に娯楽作では無いですもの。淡々とその場にあった出来事を写すこと、それだけ細心の注意のいる映画だということ。私はそう感じました。本当に起こった悲しい出来事なのだから「物語」にしてはいけないんだと思います。そして「これが真実」だと思うと、より事件の怖さを肌で感じました。

テロリストが行った行為のせいで同じ国民はおろか、全く関係のないアラブ人種全てに被害が及んでいる。それを考えるともうつらくてつらくて、上映が終わっても全く席を立てませんでした。「クラッシュ」に出ていたペルシャ人の家族が目に浮かびます。

この映画で私は「感動を与えた」とか「生きる意味を教えてくれた」などは一切思わなかったです。感動は一瞬で過ぎ去るものですが、心が大きく揺さぶられた悲痛な出来事は忘れません。この映画はそういう作品だと思います。そして、大きな課題が目の前にあることを再認識させられました。

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ジャーヘッド

Photo_47 ずっと観たかった「ジャーヘッド」です。「デイアフタートゥモロー」のジェイク・ギレンホールです。格好いい☆

湾岸戦争を舞台に「今時の若者」の戦争観が見て取れる稀有な作品。

正直言ってこんなにポップだとは思わなかったです。音楽の使い方といい、セレクトといい、まさに20代前半~30代までをターゲットとした戦争映画だと感じました。めずらしいね。こういうの。
戦争をテーマとしてきた今までの作品とは180度違う撮り方なので「重量感が無い」「命の重さが伝わらない」と言われるかも知れませんが、これはこれで良いと私は感じました。湾岸戦争って、ほんと、何のための戦争?っていわれたら「アメリカのためでしょ」と言うしかないもの。そして、そう感じる若者の視点なのだから、こういう作り方で合ってるとも感じました。
それと、チームのみんな誰1人死ななかった(戦争中は)というのも、良い投げかけになってると感じます。絶対あのチャラけた人が死ぬと思ってたもの。流れ的に。

こういうコンセプトの戦争映画ってのも面白いと思います。かなり軽いけど、恋人と一緒に観れる稀な映画として私は好きだなぁ。

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ロード・オブ・ウォー

Photo_28 長かった。いつレンタル屋に借りに行っても貸し出し中の「ロード・オブ・ウォー」を観ました。

少年時代にウクライナからアメリカに渡り、天性の才覚で世界有数の武器商人にまで昇りつめた男の話です。といっても単なる伝記っぽい綺麗ものなんかじゃなく「NO WAR!」が隠れたテーマの物語だと思います。

「クラッシュ」にも「拳銃」はちょっと重要なテーマとして出てきます。本作ではその「拳銃」が世界を巡る形で登場するので、世界観がまた違った見えてきて非常にハマりました☆

いまや拳銃も硬貨と同じように世の中を流通していく物と化している証拠だと気づきました。日本でぼんやり生きていると、こういう世界は本当に「映画の中だけ」な感じがしますが、もうみんなの身近にそれは迫ってきていること。そして、そういった絶対悪をつぶすにはボスを探しそれをつぶすしかないこと。わかりきってはいたけど、深く考えていなかった、目を背けていた部分にあえて真っ向からスポットを当てたカリスマ的映画だと思いました。しかも非常にわかりやすい物語構成も目からウロコ。

社会派の人じゃなくてもこれを見れば世界が変わるでしょうね。
毎日を考えながら生きる事。今自分が食べているものはどういうルートできているのか。
世界にはTVで報道されてない「悪」がたくさんいること。常任理事国として威張っている国のように、裏ではみんな平和より利益だと思っていること。突き詰めて考えるとでる答えがあると思う。そういう事がすごく大事だと痛感しました。

私はたまにグリーンピースジャパンのサイトを見ます。
そこには今まで自分が知らなかった、どこにも情報が流れていなかった出来事がたくさん載っています。それが嘘かホントか悩んだりします。
信用するかしないかは自分自身ですが、こういった作品をみてしまうと、サイトに掲載されていることが事実のように見えてくるのは私だけじゃないはずです。世界情勢に興味が沸いたら一度観てみるのもいいと思います。

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