「トゥモロー・ワールド」です。 【ちょっとネタバレ】
子供が誕生しなくなってしまった近未来を舞台に、人類存亡の“鍵”を巡る攻防を、製作費120億円を投じて描いたSFアクション巨編!出生率の低下、繰り返されるテロ活動…決して空想ではない真実の未来図を徹底したリアリズムと壮大なスケールで描く。
以前より評判は聞いていましたが、正直ここまで凄いとは想像していませんでした。私の直球ド真ん中映画です。まさに心臓をえぐられたような衝撃が走りました。
2027年の未来が舞台なんですが、いままで観てきた近未来のテクノチックな映像は、ほとんど無く、イギリス以外の国は全て崩壊し、残すイギリスでも「出生率0%」という人類滅亡の危機に瀕した世界が描かれています。
そして今のイギリスに瓦礫を足したような、内戦を起こしたような背景の映像から始まり、冒頭の「Children of men」のテロップの出し方についてもどこかで観たような…。
うんうん考えながら観てたら、主人公テオ(クレイブ・オーウェン)の親友が出てきてようやくわかりました。
これはフラワーチルドレン、ヒッピームーブメント、思想やデモや抗争、過激派、独裁政治や収容所や貧困といった、60~70~80年代を強く意識して折り込まれいると思いました。現にこの親友夫婦もヒッピーだし、テオも元活動家で、彼の元彼女(ジュリアン・ムーア)も現役の過激派の活動グループリーダーですし。そしてお話の中で重大な「ある事」が起こり、テオ達はそれを送り届けるため人間研究船「トゥモロー号」へと向かう訳ですが、この船は「ノアの箱船」のようにお話の中では大きな目標となってるわけです。
私が本作に凄く感銘を受けたのは、この内容以上にその抗争の「戦争風景」です。グロくなく、それでいて痛そうとかではないのにとにかく怖い。それもジリジリくる恐怖ではなく、もっと突発的に、あっけなく人が死んでいく様をこれでもかと見させられます。この冷酷かつ非道な風景に、私は凍り付いてしまいました。とにかく終始戦争を本当に目の当たりにしてる様な、緊張感と雰囲気に包まれます。
(この監督、前作では「ハリーポッターとアズカバンの囚人」を撮った人みたいですが、思い起こせばハリポタでも「この監督、撮り方上手いなぁ」と感じてました 若いんだよね?)
こんなにグレーな風景なのに、とにかく、とにかくリアリティがあります。そして本当にその場で人が死んでいく様をみさせられてる感覚に陥りました。この描写力は凄い。
それと、最後の終わり方、いやいやあれはGOODです。問題の多い今の世の中「トゥモローワールド」のラストの様に小さな希望を残して…。
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